音楽
音楽を始めたのは、あるお笑い芸人の息子であるベーシストの影響だ。それまでは音楽のことはなに一つ分からなかった。音符も読めないし、記号もわからない。わかるとしたら楽器の名前ぐらいだ。そんな中、エレキバースを弾いていたその息子の方に、憧れてエレキベースを始めた。エレキベースがかっこいいと思ったのは、その低い音とバンド全体を包んでるいるような音質にで、すごく重要な楽器だと気がつき、特に目立つわけでもないが、バンド全体を支えるという点に、憧れを持った。
最初は、ネットに載っている簡単な曲から練習し始めた。やはり独学だと、弾き方などのコツがわからない。最初はすごく苦戦した。僕が憧れているベーシストは、スラップという奏法を得意としており、僕はそれを真似し始めた。曲ではソロでスラップを使うことが多い。これがまたすごくかっこいいのだ。簡単に真似できるものではないが、指で弾く王道の弾き方より、自分のスタイルにハマった。それからずっとスラップを練習していた。
音楽を始めるにあたって、エレキベースという楽器からスタートしたが、ただ趣味で弾いているのもだんだん飽きてくる。誰かの前で披露したくなるのだ。自己満で終わりたくなかった。しかしエレキベースはバンドを組んで、その一員として弾くことが大半だ。1人でエレキベースを持ち、人前で演奏するのは、さほど上手くないと拍手喝采など起きない。僕は学校に行っておらず、友達もいなかったので、もちろんバンドメンバーなんか集まるわけがなかった。しかしベースを弾くのをやめなかった。
中学3年生になり、進路を考えるとき、成績も出席日数もないもない僕を、受け入れてくれる学校はあるのだろうか。
過去があるから現在がある
第六話
けんたは救急車呼ぶことになるような非常事態に遭遇したことがない。
ましてや自分が起こした事件だ。冷静でいられるわけもなく、体がブルブルと震えて顔は真っ青になっていた。
血も通っていないような顔色でただ呆然としていた。
としきは救急隊員が来るまでただただ泣き叫んでいた。
このりは冷静な対応で必死に慰めていた。
「ピーポーピーポーピーポー」
10分程度で救急車が到着した。
「お母さん息子さんの状態は大丈夫でしょうか。詳しく教えてください。」
「ずっと見ていたわけではなく、泣いているのに気づいてからなので、詳しく状況は正直わかっていないのですが、子供たちも何が起こったかわかっておらず、とにかく病院で調べて欲しいです。いまわかっていることは腕が痛いということです。
「わかりました。としきくーん大丈夫かな腕触ってもいい?」
「だめ!触るとすごく痛い」
「脱臼してるかもしれないですね。このまま応急処置をすれば簡単に治るのですが、まだ小さいお子様なので繊細に腕を動かさず、病院で治療いたします。
「よろしくお願いします。」
そのままとしきは運ばれていった。
けんたはとしきが運ばれるまで終始無言で全身が震えていた。
「けんた!大丈夫?心配しないでいいからね、詳しいことはとしきから聞くから今日は帰りな?」
かなりの優しい言葉にけんたやっと我に帰った。
「本当にすみません。また遊びにきます。」
けんたはいまだ緊張を保ちつつ家に帰った。
としきは病院で脱臼と診断され、腕を元に戻し、すぐ家に帰宅した。
「としき何があったの?ちゃんと言いなさい。」
このりに事情を聞かれるが、なかなか言い出せない。
けんたのためを思ってたか、けんたを悪者したくないのかとしきの心情は少し複雑だった。
過去があるから現在がある
第五話
親友とは。
腕が外れた瞬間としきは何が起こったかわからなかった。
当然小学1年生のとしきには初めての体験であった。
腕を外した当事者でもあるけんたは外れたかどうかもわからず引っ張り続けていた。
するととしきの腕には激痛が走った。
「痛い!!やめて!離して!」
号泣しながらけんたに訴えた。
けんたは泣いているとしきを見てやっと異変に気づいた。
「としき!大丈夫か!としき!」
けんたから必死に声をかけられるが、腕が痛すぎて何も耳に入ってこない。
けんたは焦っていた。正直言って親にバレたくない、怒られたくないという気持ちが先行してとしきの腕のことより、自分のことを心配していた。
そんな感情を持つ親友を本当に親友と呼んでいいのだろうかと、疑問に思う。
「としき!泣くな!男だろ!そんなもんすぐ治るって!」
腕が外れてるとは思ってもいないけんたは必死に慰めるしかなかった。
腕が外れた場合の対処法として腕の骨を無理やり元の位置に戻すというのがあるが、そんなこと小学1年生の子供が知る由もない。もう病院に行くしか治す方法はない。
必死に慰めても変わらない状況にけんたの緊張はどんどんピークに達していく。
そんな中、家にいたとしきの母このりは2人の異変に気づき、部屋にやってきた。
「としきどうしたの!大丈夫??けんた!何があったの!?」
けんたはどう言い訳し、隠そうか焦って何も言葉が出てこない。
としきは痛みが激しすぎて何も言葉でない上に、状況整理ができていない。
このりは何もわからない状況で「腕が痛い!動かない!」というとしきの声で、救急車を呼ぼうとすぐ電話をかけた。
その時のけんたの心情は最悪だった。
過去があるから現在がある
第四話
溝は埋まらない
としきとけんたの間には溝ができていた。
いつもお互いの家に行ってはゲームで対戦したり、共通して同じスポーツが好きで公園で遊んだり、楽しいことがたくさんだった。
としきはけんたに影響を受けることが多く、けんたが習っていた柔道教室を紹介してもらって習ったり、映画やスポーツの好みも寄せていった。
そんな2人には友達関係には良くない、上下関係という面で溝が深まりつつあった。
大きな事件をきっかけにその溝は埋まることは無くなってしまった。
いつものようにけんたがとしきの家に遊びにきた。
「プロレスごっこしようぜ!」
けんたはそう言ったが、としきは内心
「おれの方が体が小さいし、勝てるわけないよ。」
心の中ではそう思っていたが、けんたの機嫌が損ねる方がいやだったからか泣く泣く承諾してしまった。
けんたはすごく興奮し、本気でプロレスをやり始めた。
「よっしゃーかかってこい!色んな技試したいんだよ!」
「待って!怪我しないようにしてよ!」
「分かってるって、手加減するから!」
としきは意を決してけんたに立ち向かっていくが、けんたの方が体も大きく力も違う。当然かなうわけがない。
「おーどうだ!まいったかー!」
けんたはとしきの腕を思いっきり引っ張りながら、マウントをとってくる。
すると、よくないことが起こった。
もともと体が弱いとしきは腕を思いっきり引っ張られると腕の骨が外れてしまうのだ。
「痛い!痛い!やめて!」
「おらーおらーもっとだ!」
すると案の定腕外れてしまった。
続く
やること
過去に投稿した記事をちょっとずつ変えながら投稿します。
僕は正確には覚えていないが、小学4年生の頃から中学3年生まで不登校だった。小学校の頃は友達が多い方だったから、学校に行ってなくても外に出て遊んでいた。いわゆる引きこもりではなかった。小学生の頃は、将来のことなど考えておらず、ただ漠然とぐうたら生活をし、遊んでいた。
小学6年生になり徐々に学校に行く回数が増えた。それでも週に2回か3回。あっという間に卒業した。友達とも離れることはなく、中学校に進んだ。新しい環境になり、親も友達ももちろん僕も学校に行き始めるだろうと思っていた。だが現実はそんなにうまくいかなかった。新しい環境に体質的に慣れていなかった。そこで自分が重度のコミュ障だと気づいた。
改善の余地がなく、小学校の時より欠席の回数が増えた。野球部にも所属したが、すぐに行かなくなった。しかしそこでも友達が少なくなかった。ただ遊んでいた。小学校の頃の生活となにも変わらなかった。ただ心は成長しており、将来のことを考え始めた。義務教育をまともに受けていないので、少しでもと親が塾に通わせくれた。たぶんそれは、勉強だけでなく学校に足を向かせるためだったのだと今思う。
しかし、僕はどんな対策をされようが学校に行くことはなかった。自分でもなんでかわからない。1人で泣くことだって少なくなかった。思い通りに行かなくて泣いて、親に申し訳なくて泣いて、友達が助けてくれてるのに情けなくて泣いて。ただただ変わりたかった。
この先転機が訪れます。また明日。
過去があるから現在がある
第三話
友人関係の難しさ
としきは、小学生になっていた。
やんちゃで活発的な性格は変わらず、友達も最初からたくさんいた。
先頭を切るタイプではないが、そこそこ人気があり、みんなから慕われるところがあった。
としきがいる小学校は保育園からそのまま同じの子供たちがほとんどだった。
友達ができるか不安なことは一切なかった。
としきには保育園からの親友であるけんたの存在が大きかった。
2人はいつも行動を共にし、家も近く毎日のように遊んでいた。
他にも友達はたくさんいたが、いつも2人で行動をしていた。
けんたどこか、お兄ちゃんみたいでいつもとしきを引っ張ってくれていた。
スポーツをするにも、ゲームをするにもとしきはけんたに勝てない。
親友ではあるが、お兄ちゃんみたいな面があることが少し違和感に感じるようになっていた。
「お前弱いなぁ、おれには一生勝てないな!」
としきのことを罵倒するような言葉はいつしか口癖のようになっていた。
としきはいつも
「強いなぁけんた、すごいよほんとに!」
としきの口癖もけんたのことを褒めるか、機嫌を損ねないような言葉だった。
保育園の時とは違う、やんちゃで活発的な性格は影を薄めた。
友達や親友との間で、上下関係が発生してまうことはいじめにもつながる。
できれば常に同等で、気を遣わないような関係が1番いい。
しかし、としきとけんたそんな関係とは程遠いどころか、さらに悪化していくことになる。
いつしかとしきは、共に行動するあいてをかえていた。